電子図書館

電子図書館(はじめに)

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PDFファイルはダウンロードしてお読みください。(PDF利用法参照)

日本においてもインターネットの利用が広く利用されるようになりました。しかし、アメリカやヨーロッパに比べて国内ではあまり盛んでないないものがあります。それは古典を無償で自由に利用することのできる電子図書館です。アメリカでは学術的な情報の共有をインターネットの出発点としているのに対し、日本では初期から商業利用を中心とするようになったのがこの原因と考えられます。たとえばアメリカでは独立宣言や聖書などの刊行にはじまり、ディケンズ、スティーブンソン、ウェルズ、コナン・ドイルなどの種々な著作や、大部なものとしてはシェークスピア全集なども無償で供給されています。ヨーロッパも同様で、ドイツ、フランス、ロシアなどのネットに接続することにより、それぞれの言語で多くの著作を無償で読むことができます。たしかに旧漢字、旧仮名遣いがあることや、アルファベットにくらべて日本語がデータベース化しにくいのは事実です。しかし、将来は本邦でも米欧と同じように無償で古典を読むことができるようになることを期待しています。(最近になって日本にも本格的な無償の電子文庫の青空文庫ができました。発展を祈ります。)

中村学園大学図書館のホームページを作るのにさいして、無償で自由にだれでも利用することのできる電子図書館の建設に重点をおくことにしました。種々の可能性のうちで、本学が福岡にあり、食物栄養学科と児童学科からなるので、まず「貝原益軒アーカイブ」の設立に取りかかりました。ご存知のように、益軒(1630-1714)は江戸初期に福岡の生んだ大学者です。儒学者(哲学者)ですが、本草学(薬草学であるとともに博物学)、農学などの実学を重視して、その後の日本における科学や技術の発展にも大きく寄与しています。

アーカイブは、「養生訓」8巻「和俗童子訓」5巻「筑前国続風土記」30巻「大和本草」図とも21巻「花譜」、「菜譜」3巻ずつ の全文を、初版本または明治刊行の活字本からのイメージ・ファイルとして、インターネット上で発表しました。PDF形式にしてありますので、印刷したり拡大することによって図の詳細やルビも読むことができます。とくに「筑前国続風土記」「大和本草「花譜」、「菜譜」は、福岡の中高校の社会科および理科の授業および自主研究において、教員や生徒がひろく利用してくださることを希望しています。

これに続いて、自然科学や哲学などの古典に注目しました。たとえば、日本の自然科学の近代化における洋学の勃興のさきがけとなった「解体新書」、広範囲に読まれた解剖学および生理学の教科書である「医範提綱」および化学の初めての体系的教科書でわれわれが使っている用語の源になっている「舎密開宗」を提供します。本電子図書館の蔵書のかなりの部分を原書のPDFファイルとして提供しています。必要に応じて、興味のあるところを拡大して眺めることができます。「PDF利用法」をご参照ください。

日本の近代化はこのようないわゆる科学技術だけではなく、洋学を取り入れた新しい思想が生まれています。東北および九州の僻村の医師である安藤昌益や三浦梅園、大阪の商家の番頭の山片蟠桃などはその代表的な思想家です。ここでは梅園の哲学の入門書と言うべき「多賀墨卿に与える書」、労賃および物価についての考察ならびに政治のあり方について藩主に進言した「価原」「丙午封事」、および蟠桃が書き残した天文、暦、経済学、宗教、医学についての独創的な書籍「夢の代」を刊行します。これらの思想家はすべて儒学から出発しています。その意味において、「論語」の重要性は強調しても過ぎることはありません。ここで原文およびLeggeによる英訳を掲載します。

このような日本における科学革命のもとになったヨーロッパの科学書籍の原本も掲載します。これまで出版された書籍のうちでもっとも美しい本の一つと言われるヴェサリウスの「ファブリカ」の解剖図、および近代医学だけでなく帰納的研究科学のもっとも重要な文献と呼ばれるハーヴェイの「血液循環」(ラテン語、英語および日本語)をご覧いただけます。

この他に、古代の日本についての重要文献であるにもかかわらずその内容を見る機会が少ない、「魏志倭人伝」を三国志の魏書からその部分だけを引用することにしました。また、学外の方々にも興味を持って頂けるような本で書店では入手困難なもの、「蒙古襲来絵詞と竹崎季長」も紹介します。ほとんどすべての人が教科書などで見たこともある蒙古襲来絵詞についての優れた紹介と研究です。本学教員が執筆し西日本新聞に連載した、「クスリより大事な食の話:食は医なり」もオンラインで読めるようにしました。さらに栄養士および栄養士の卵が管理栄養士国家試験の準備をするのに役立つように、第一回から本年までの「管理栄養士国家試験」の全問題と簡単な解説を電子図書として発行しました。「米国の食事指針資料」は栄養指導についてのアメリカの資料です。これを読むことは、栄養指導の新しい流れを知るだけでなく、英語の勉強にもなるでしょう。

最初に書きましたように、誰でも無償で自由に利用できることを意図して、この電子図書館を作りました。それで著作権についてはかなりの注意を払いました。本電子図書館で大部分を占める江戸時代の作品や日本国憲法、国家試験問題、アメリカ政府の食事指針資料などに、著作権は無いと考えることができます。写真撮影した本は数百年前、新しくても戦前のもので、出版社の存在すら確認できないものです。しかし、校訂者や翻訳者がある場合は、その権利を侵害しないように努力しました。たとえばハーヴェイの著作は英文から新しく翻訳しました。

この電子図書館で提供している私たちが製作したファイルは、自由に使って頂きたいと、私たちは思っています。たとえば、パスワードが設定できるPDFファイルにも、何の設定も行っていません。自由に編集し直すこともできます。しかし、著作権所有者から新しく許可を得る必要のあるものもあるでしょう。たとえば、Dr. Mercer の英文多賀書はウェブ掲載の許可は得ていますが、他に利用するとしたら新しく許可を得る必要があると思います。