血液循環

ハーヴェイと血液循環

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16世紀の医学研究がVesalius(1514-1564)のファブリカ(1543)によって代表されるのに対して、17世紀の研究はウィリアム ハーヴェイ(William Harvey 1578-1657)の「動物の心臓ならびに血液の運動にかんする解剖学的研究」(1628)によって代表される。ファブリカは思弁的な考えを排除し、観察を重視する解剖学であったのにたいし、ハーヴェイの研究は、生体を自然科学的に研究し、帰納法によって結論を出す生理学である。17世紀は、イギリスの哲学者 Francis Bacon (1561-1625)やフランスの哲学者 Descartes (1596-1650) のように、生体のはたらきを物理学、数学によって解明することが可能であり、それが重要であることの論じられた時代である。ハーヴェイの本は小冊子ではあるが、心臓と血液の運動についてのその議論は、今日の医学者をも納得させるものである。

この本は暉峻義等訳「動物の心臓ならびに血液の運動に関する解剖学的研究」岩波文庫 1961として日本語でも読むことができる。子供向けの伝記としては 阿知波五郎著「血液は循環するーハーベイ伝」国土社 1976があり、詳細な伝記および解説としては中村禎里著「血液循環の発見ーウィリアム・ハーヴィの生涯ー」岩波新書 1977 がある。なお川喜多愛郎著「近代医学の史的基盤 上」岩波書店 1977 の序章は「近代医学の出発点ー血液循環論の確立」であり、血液循環論の近代医学における重要性が論じられている。欧米で本書は何回か復刻されている。最近になって、高解像度カラーイメージのPDFファイルのCD-ROMを25$で購入することができるようになった。サンプルをインターネットで見ることができる。

現代語で読むならwillis の英訳(1847)がある。これはFordham大学(NY)の Internet History Sourcebook Project から転載させて頂いたものである。ご好意に感謝する。なお、歴史学だけでなく、哲学、社会学、自然科学などの原典をこのプロジェクトで読むことができる。試験的に日本語訳 も試みてみた。

もしも努力を惜しまないなら、この本は内容を考え現代語訳と較べることによって、ラテン語辞典と文法書をを参考にして、読むことができる。各章のタイトルをラテン語で読むだけでも勉強になる。


目次 :カッコは訳者のつけた説明: /英文とあるのはwillis(1847) 
 訳者の解説 /英文
 英国王への手紙と献辞(訳省略)/英文
 医師会会長および同学者への献辞(訳省略)/英文
 緒言 /英文
 1.この本を書いた動機 /英文
 2.心臓の運動について /英文
  (血液は心臓の収縮によって押し出される)
 3.動脈の運動 /英文
  (動脈の脈拍は左心室からの血液の衝撃)
 4.心臓とその心房の運動 /英文
  (心室への血液の流入は心房の収縮により起きる)
 5.心臓の運動、作用、機能について /英文
  (心臓の運動についてのまとめ)
 6.血液の流れる経路 /英文
 7.血液は肺の実質を流れる /英文
 8.心臓を通る血液の量について /英文
 9.第一命題から血液循環の存在が確認された /英文
  (大量の血液全部が短時間に心臓を通過する)
10.第一命題の証明 /英文
11.第二命題の証明 /英文
12.第二命題から血液循環の存在が示された /英文
  (大量の血液が動脈を経て全身に送られる)
13.第三命題の証明とそれによる血液循環の確認 /英文
  (この血液が大静脈を経て心臓に還る)
14.血液循環についての記述の結論 /英文
15.血液循環がさらに確認された /英文
16.その他の結果による血液循環の証明 /英文
17.血液の運動と循環の確証 /英文